退職金の割引現在価値を計算してホントの月給を算定してみた

白紙メモ用紙とペン ひとりごと

お疲れ様です。

今勤めている会社には退職金制度があります。
その分かどうかはわかりませんが、月給は低めの設定になっています。

ある時ふと思い立って、退職金の割引現在価値を計算してみました。
現在の基本給に退職金の割引現在価値分を加算すると、あら不思議。
それなりの金額になりました。

今回は、退職金と割引現在価値についてまとめておきたいと思います。

退職金について

まずは退職金について。

退職金とは?

国語辞典によると、退職金の国語的な意味は次のとおりです。

官公庁や会社などの私企業などに勤める人が退職する際に、その勤め先から一時金として支給される金銭。退職手当。退職慰労金。(精選版日本国語大辞典から引用)

退職金と似たような言葉として、次のようなものもあります。

退職所得
退職手当、一時恩給など、退職することによって一時的に受ける給与、およびこれらの性質をもつもの(所得税法第九条)。(精選版日本国語大辞典から引用)
退職年金
公務員が、退職したときから死亡に至るまで支給される共済組合の年金。(精選版日本国語大辞典から引用)

退職金の性格

退職金制度は終身雇用を前提とした制度です。
その主な性格は次のとおりです。

退職金の性格1 賃金の後払いとしての性格

退職金制度には、企業が退職者に対して定年時にまとまった額の金銭を支払う代わりに、在職中の給与支給額を抑える、という側面があります。

で、退職金は一般的に退職金は退職金規定に基づいて算出されます。
この場合、退職金は賃金( =労働の対価 )に該当します。

なお、退職金規定がない状態で自分だけたまたま退職時にまとまった金銭をもらえたような場合。
このお金は賃金に該当しません。

退職金の性格2 功労報償的性格

退職金は、企業が退職者の永年勤続の功に対する報償としての性格を持つといわれています。
企業に言わせると「長いこと我が社のために尽くしてくれてありがとう!お疲れさん!」といったとこでしょうか。

ちなみに、次のような判例(裁判所の判断のことです)があります。

懲戒解雇により退職するものには退職金を支給しないとするような退職金の支給制限規定は、一方で、退職金が功労報償的な性格を有することに由来する。(小田急電鉄(退職金)事件 (H15.12.11東京高判))

懲戒解雇っていうのはクビのことです。
You’re Fired.
某大統領が昔よく言ってましたね。

判例を流し読みする限り、懲戒解雇が即退職金支給対象外に該当すると断言できるわけでもなさそうですが、懲戒解雇には気をつけてくださいね。

退職金の性格3 生活保障的性格

退職すると失業保険をもらうことができます。
しかしながら、失業保険の受給期間は有限です。
なので、退職後から死ぬまでずっと失業保険をもらい続けることはできません。

この点、退職金をもらうことができれば、当面は退職後の生活費を心配する必要がなくなります。
そのため、退職金は退職後の生活保障としての性格を有することになります。

退職金に関する税制

退職金には税金がかかります。
かかるんですが、通常給料が支給される際に天引きされる税金とは計算方法が異なります。
だいぶ優遇されています。
しかも勤続年数が長いほどに有利になる仕組み。

具体的には、勤続年数20年までと勤続年数20年以降で控除額の計算方法が違っていて、勤続年数20年以上の方が控除金額が大きくなります。
控除額が大きくなると課税所得( =税金算定のもとになる数値 )が小さくなるので、課税額が少なくなる仕組みです。

この辺が気になる方はググってみてください。

割引現在価値について

次に割引現在価値について。

割引現在価値とは?

将来の一定時点におけるある数値を現在の数値に割り引いたものをいいます。
これだけだとイミフなので、具体例を使って説明します。

割引現在価値の典型例 〜 今100万円貰うのと一年後100万円貰うの、どっちがいい? 〜

あなたは「今100万円貰うのと、一年後に100万円貰うの、どっちがいい?」と聞かれたらどう答えるでしょうか。ただし、物価や利率等他の条件はどちらの場合でも変わらず、利率は年5%とします。

どうでしょう?
数値はどっちも同じなので、どのタイミングでもらっても良さそうな気がしますよね。

ただ、この二つを比較しようとすると、どちらも時間軸が違うことに気がつくと思います。
なので、比較検討するにはこの二つを同じ時間軸に揃える必要があります。
今回は「来年貰える100万円を今の価値に直すといくら?」に直して比較検討してみましょう。

このとき使うのが、割引現在価値という考え方です。

どうするかというと、一年後の100万円を利率で年数分(今回は一年後なので一回)割り返します。
なぜなら、来年の100万円は、今年持っている金額に利子を加えた合計額だからです。

来年の100万円が今現在いくらの価値になっているかを算出する数式は次のとおりです。

PV(Present Value) = 将来の金額 ÷ ( 1 + 利率 )^ 年数

上記に今回のケースを当てはめると、次のようになります。

PV = 100万円 ÷ ( 1 + 0.05 )^ 1
= 100万円 ÷ 1.05
= 952380.95238
≒ 95万円 < 100万円

計算の結果、来年貰える100万円は、時間軸を今年に揃えると約95万円になります。
結論としては、今100万円もらった方がよい、が答えになります。

もちろん、「今貰える100万円を来年まで使わずに持っていたらいくらになるか?」を考えてもOKですよ。
この場合、今貰える100万円に利率をかけた数値が一年後手元にある数値になります。

退職金の割引現在価値を算出してホントの月給を算出してみた

これまでの知識をもとに、退職金の割引現在価値を算出します。
そして、その数値を12で割って現在の月給にプラスし、退職金の割引現在価値を含めたホントの月給を算出していきます。

ホントの月給算出過程

  1. 退職手当に関する規定を社内イントラで確認
  2. エクセルのセルに前述の関数を入力
  3. 必要な数値を代入
  4. 算出された数値を12で割る
  5. 4で求めた数値を現在の月給に足し合わせる

算出にあたっての前提条件

  • 今現在勤続10年
  • 勤続年数を20年、25年、30年の三パターン想定
  • 利率は5%、10%の二パターン想定

ホントの月給計算結果

計算の結果は次のとおりでした。

  • 利率5%の場合 → 基本給に概ね月2万円〜3万円プラス
  • 利率10%の場合 → 基本給に概ね月6万円〜8万円プラス

終わりに

計算すると結構な金額になりますね。
これって転職等での年収交渉でエビデンスになるかな?

皆さんも、退職金の割引現在か価値を12で割って現在の基本給に足し合わせてホントの月給を算出してみてはいかがでしょうか。

ではでは。

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